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意見書第17号 環太平洋経済連携協定(TPP)への拙速な参加表明に反対する意見書案

番号 意見書第17号 議決年月日 平成22年11月30日
議決結果 可決
意見書第17号
  環太平洋経済連携協定(TPP)への拙速な参加表明に反対する意見書案

環太平洋経済連携協定(TPP)への拙速な参加表明に反対する意見書
 我が国の第1次産業は、国民に安全・安心な食料を提供するのみでなく、国土や自然環境の保全、伝統文化の継承など多目的機能を有しており、国家の安定的発展に大きな役割を果たしている。
 しかしながら、今日の農林水産業を取り巻く情勢は、担い手の減少や高齢化の進行、耕作放棄地の増加、水産資源の減少、価格の低迷など、構造的な課題を抱え非常に厳しい状況である。
 こうした中、政府は11月9日、環太平洋経済連携協定(TPP)について、「関係国との協議を開始する」と明記した「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定されたところである。
 菅総理は、11月13日に行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に先立って開催されたAPEC最高経営責任者(CEO)サミットで、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に向けて「関係国との協議を開始する」と表明した。
 しかし、この環太平洋経済連携協定(TPP)は、予め特定分野の自由化を除外しての交渉参加は認められない可能性が高く、参加後も10年後にはほぼ全ての分野での関税撤廃が原則とされており、米などの重要品目については例外扱いし、国内産業に悪影響を与えないよう最大限配慮されてきたこれまでの経済連携協定(EPA)とは比較にならないほど厳しい内容のものである。
 仮に、この交渉に拙速に参加した場合、我が国の農林水産業への影響は計り知れず、国内農林水産業が壊滅的な打撃を受ける強い懸念があるとともに、食料自給率を上げるという政府の方針や食の安全・安心な安定供給といったことに逆行して、食料の安全保障を脅かす重大な問題であり、国家の根幹に関わるものである。
 また、農林水産業は、地域において生産資材や農業機械等の製造業、食品加工、運輸、流通・販売、観光など広範囲な産業と密接に結びついており、農林水産業への壊滅的な打撃は、単に農林水産業関係者だけでなく、あらゆる産業において地域経済をより一層大きく冷え込ませ、雇用環境を極度に悪化させるなど、地方のさらなる疲弊につながるものである。
 今回の政府の対応は、農林水産業関係者を初め、食品産業、消費者等の幅広い国民的議論もなく、唐突に検討表明が出された印象は否めない。
 よって、政府の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加検討にあたっては、我が国の農林水産業への十分な配慮の上で、下記のとおり慎重に検討されるよう強く要望する。

                 記

1.関税の撤廃が原則である環太平洋経済連携協定(TPP)への参加については、国内農林水産業への壊滅的な影響を与え、我が国の食料事情を危うくし、食料安全保障の観点からも、国民の生活を危機的状況に追い込むことが想定されることから、拙速な参加表明を行わないこと。

2.環太平洋経済連携協定(TPP)への参加については、全産業の分野にわたって、そのメリット、デメリットについて、国会等で慎重に審議するとともに、国民に対し詳細な情報提供を行うこと。

3.今後、国際貿易交渉にあたっては、「『多様な農業の共存』を基本理念として、食料安全保障の確保や農業の多面的機能の発揮を図るなど、日本提案の実現を目指す。」というこれまでの我が国の基本方針を堅持し、食料自給率の向上、国内農林水産業の振興を図るべく財源に裏打ちされた確固たる政策を早急に実現した上で対応すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成22年11月30日
                        佐賀市議会

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣       宛
農林水産大臣
経済産業大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣
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