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決議第5号 佐賀空港の陸上自衛隊配備に関する決議案

番号 決議第5号 議決年月日 平成29年12月19日
議決結果 可決
決議第5号
  佐賀空港の陸上自衛隊配備に関する決議案

 佐賀県は、防衛省より佐賀空港の自衛隊使用等の要請を受けている。その内容は、自衛隊が導入するオスプレイの配備先及び目達原駐屯地の自衛隊機の移転先として佐賀空港を使用したい旨の要請である。これは、我が国の防衛力を強化するための中期防衛力整備計画に基づく、島嶼部防衛の事態即応と実効的かつ機動的な対処の一環として求められたものである。
 この計画の実現に向け、防衛省は県が求めた「配備計画の全体像・将来像」を明らかにするため、県との間で質問・回答のやりとりを初め、平成28年6月には施設の配置案などを示した上で、地元説明会の開催、デモフライトの実施、そして本年4月には建設予定地の地権者である漁協及び漁業者等に対し説明を行うなど、計画への理解と協力を求めてきた。
 本市議会においても、本件は看過できない問題であり、平成26年10月3日に「自衛隊等の佐賀空港利用に関する調査特別委員会」を設置し、目達原駐屯地、仙台駐屯地及び霞目駐屯地での日米豪共同訓練「みちのくALERT2014」、高遊原分屯地での日米共同訓練、木更津駐屯地、相浦駐屯地などの視察を初め、防衛省からの参考人招致、「eさがモニター」を活用した市民意識の調査、佐賀空港開港当時に締結された「公害防止協定書」についての理解を深めるための協議など、精力的に取り組んできた。
 一方、県は、本年5月30日に「配備計画の全体像・将来像」はほぼ明確になったとして、これまでの防衛省とのやりとりなどから論点を洗い出し、県の確認・検討状況を整理した論点整理素案を公表した。
 この中で今回の要請は、まさに国の根幹に関わる国防のことであり、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しているとの認識を示し、国を構成している地方自治体は、国防政策に基本的に協力する立場にあると言及している。その上で、今回の計画に係る論点については概ね不合理な点はないと評価しつつも、有明海漁協の漁業者の理解が得られなければ、今回の要請を実現するのは困難と示している。
 本市議会の特別委員会においても、この論点整理素案について、質疑や議論を行い、おおむね疑義等に関する整理ができたところである。
 ちなみに市長は、公害防止協定書に関し、佐賀市は立会人の立場であり、現在においてもその立場は変わっていないとして、賛否を含めた意思表示をせず、公平な立場で臨みたいとの考えを示している。
 しかしながら、市議会は、直接選挙によって選ばれた議員で構成され、市長を初めとする執行機関と両輪の立場で市政を担う市の意思決定機関として設置されている。その意味で、本市に関する重要事項である本件について特別委員会での調査・研究を参考に、市議会としての意思を表明することは不可欠であると考える。
 よって今般、県が公表した論点整理素案において、県民の安全・安心に関わる論点についておおむね不合理な点がないことを確認できたこと、中期防衛力整備計画に位置付けられた重要な計画であること、熊本地震に際してオスプレイの輸送機能が災害救援で有効性を示し、この配備によって佐賀空港の防災拠点機能が強化され、県民の安全・安心に繋がること、市街地に隣接する目達原駐屯地の諸問題が改善されることなどを総合的に検証した結果、本市議会としては、国の防衛は、国家の基盤である国土と国民の生命・財産を守り、民主主義を基調とする我が国の独立と平和を守る礎であるとの思いもあり、今回の防衛省の計画を受け入れざるを得ないと判断する。
 以上のことから、本市議会は、県に対して、公害防止協定書に基づく事前協議を行う環境を整えながら、防衛省の要請を受け入れることを要請するとともに、市に対して、地元自治体として本件の諸問題の解決に向けて積極的に県に協力することを要請する。
 ただし、漁業関係者や地元住民には依然として反対の声が根強くあることは十分に承知しており、反対の背景には計画に対する不安や国への不信感があるものと考えている。今回の計画を進めるためには、国はもちろんのこと、県においてもその払拭に取り組み、信頼関係を構築していくことが不可欠である。
 よって、本市議会は、国及び県に対し、以下の安全対策や補償措置、有明海再生や水産振興のための必要な施策を講じるとともに、信頼関係の構築に向けた環境整備を進めるよう強く要請する。

                      記

1 県に対して
(1)防衛省の要請を受け入れるためには、漁業者の理解を得ることが不可欠であることから、漁業者の声を国へ確実に届けるとともに、漁業者の理解が進むように努めること。
(2)防衛省の要請を受け入れるに当たっては、県の考えを県民に丁寧に説明するとともに、公害防止協定書の相手方である佐賀県有明海漁業協同組合、佐賀県農業協同組合や、県と環境保全に係る合意書を交わしている柳川市の理解を得ること。
(3)防衛省が示した対策や十分な補償措置が確実に講じられているかを検証するため、県と防衛省及び関係機関で構成する協議会等の組織を設置し、県民の安全・安心の確保に努めること。
2 国に対して
(1)防衛省の要請は、諫早湾干拓事業問題にも関わる有明海全体の問題としての対応が必要であり、漁業者の不信感の払拭と信頼関係の構築のために、安全対策や補償措置の確約、有明海再生や水産振興のための新たな施策の展開などのあらゆる手段を講じること。
(2)オスプレイの沖縄県などでの不時着事故やノリ養殖・コハダ(コノシロ)漁等の漁業への影響など、地元住民を初め県民の不安の払拭と佐賀空港への配備の理解が進むように引き続き丁寧な説明を実施すること。

 以上、決議する。

  平成  年  月  日
                                  佐 賀 市 議 会  
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