番号 | 意見書第6号 | 議決年月日 | 平成21年6月25日 |
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議決結果 | 可決 | ||
意見書第6号 身近な地域で出産できる助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化を求める意見書案 身近な地域で出産できる助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化を求める意見書 救急搬送された妊婦が多くの病院で受け入れを断られた後に死亡する痛ましい事故が、奈良や東京をはじめ各地で相次いで起こっている。 全国で産科と小児科の医師、分娩を扱う病院・診療所が減り続け、拠点病院への産科の集約化が進められた。しかし、地域によってはかえって産科の空白地域が広がり、妊婦が出産する病院を探すことさえ難しくなっている。また、集約化された拠点病院ではこれまで扱ってきたハイリスク出産や治療に加えて正常出産までが集中し、NICU(新生児集中管理治療室)、MFICU(母体・胎児集中治療管理室)の病床不足、それを扱う医師やスタッフの不足が深刻化している。厚生労働省が昨年全国の総合周産期母子医療センターで調査を行い、同省研究班はNICUが全国で1千床足りないと報告しているが、その整備の費用は自治体にとって大きな負担である。 一方、緊急搬送される妊婦には妊婦健診を受けていない「飛び込み出産」も多く、未受診の原因の多くが経済的理由であるとされている。妊婦健診は出産までに14回受けることが望ましいとされ、5回分は国の財政措置が地方交付税によって行われ、その運用は市町村が行っている。新年度から残り9回分について国庫補助と地方財政措置が行われることになったが、都道府県による基金創設など仕組みが複雑になり、2年間の期限付きとなっている。 社会保障の最低基準を定めたILO第102号条約では妊娠・分娩は母性医療給付の対象とされ、本人に経済的負担を課さないことを規定している。国際社会では、妊娠・出産は母子保健サービス、医療サービスとして公費負担されている。 出産は母体と胎児の命にかかわる問題である。安心して出産できる助産システムをつくり、妊婦出産の費用は国の負担か公的保障を行うべきである。 よって、下記のことを要望する。 記 1.誰でもどこでも最低14回の妊婦健診が受けられるよう、2011年度以降も公的保障を実現すること。 2.母体と胎児の命にかかわる妊娠・出産の費用は、さらに制度を充実し、無料化を実現すること。 3.身近な地域で出産のできる安心・安全の助産システムをつくること。そのために、医師を確保し、正常な妊娠出産・産後と育児のケアを担える助産師の専門性を活かし活用をはかること。 4.「周産期医療ネットワーク体制」(総合及び地域周産期母子医療センター等)の充実とその情報システムの構築に向けて、自治体へ国の財政投入を行うこと。また、産科医師、新生児治療医師の配置を行うこと。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成21年6月25日 佐賀市議会 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 宛 厚生労働大臣 |