番号 | 意見書第11号 | 議決年月日 | 平成23年10月6日 |
---|---|---|---|
議決結果 | 可決 | ||
意見書第11号 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加しないように求める意見書案 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加しないように求める意見書 我が国の第1次産業は、国民に安全・安心な食料を提供するのみでなく、国土や自然環境の保全、伝統文化の継承など多目的機能を有しており、国家の安定的発展に大きな役割を果たしている。 後世に引き継ぐべき我が国の美しき国土は、長きにわたる農山漁村のたゆまぬ日々の営みにより保全されてきたものであり、国家の礎たるこの伝統の上に現在の国の発展があることを忘れてはならない。 一方、世界的には、途上国の経済発展や人口増加などにより、世界の食料需要は逼迫し、食料争奪の様相を呈している。食料価格は、投機マネーの流入も手伝い、過去最高値を更新し続けており、日本が世界市場で自由に食料を安定的に供給できた時代は、すでに過去のものとなっている。 また、我が国は、戦後最大の自然災害となった東日本大震災に見舞われ、未来に向けて学ぶべき多くの教訓を得た。食料安全保障もその一つであり、一時的な食料供給不足を経験したことで、過度に貿易に依存するのではなく、地域・国内で食料生産を行うことが、いかに重要であるかを多くの国民が再認識することとなった。 こうした中、環太平洋経済連携協定(TPP)は、予め特定分野の自由化を除外しての交渉参加は認められない可能性が高く、参加後も10年後にはほぼ全ての分野での関税撤廃が原則とされており、米などの重要品目については例外扱いし、国内産業に悪影響を与えないよう最大限配慮されてきたこれまでの経済連携協定(EPA)とは比較にならないほど厳しい内容のものである。 仮に、この交渉に参加した場合、我が国の農林水産業への影響は計り知れず、国内農林水産業が壊滅的な打撃を受ける強い懸念があるとともに、食料自給率を上げるという政府の方針や食の安全・安心な安定供給といったことに逆行して、食料の安全保障を脅かす重大な問題であり、国家の根幹に関わるものである。 また、農林水産業は、地域において生産資材や農業機械等の製造業、食品加工、運輸、流通・販売、観光など広範囲な産業と密接に結びついており、農林水産業への壊滅的な打撃は、単に農林水産業関係者だけでなく、あらゆる産業において地域経済をより一層大きく冷え込ませ、雇用環境を極度に悪化させるなど、地方のさらなる疲弊につながるものである。 このように、農業を中心に、様々な分野で国民生活全体に大きな影響があることは必至であることから、政府は環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉に参加しないことを直ちに明確に表明するよう強く要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成23年10月6日 佐賀市議会 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 外務大臣 宛 農林水産大臣 経済産業大臣 内閣官房長官 国家戦略担当大臣 |